ものかき雑兵日記

アマチュアでライトノベルを書いたりしている、へぼい物書きのブログです。当ブログでは小説に関する話題や、AC(アーマードコア)に関する話題などを掲載しております。

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現実の「傭兵」

 今回の記事では、現実に存在する「傭兵」という職業について、自分が知っている限りのことや、新しく調べたことを書いてみようかと思います。

 ACでも主役級のキャラたちが多く就いている「レイヴン」という職業。
 レイヴンはAC乗りを専門とする傭兵です。

 またAC4とACfAにおいても、リンクスが傭兵として企業に雇われ、戦ったりしています。


 現実の傭兵という職業を理解すれば、架空の傭兵たちである「レイヴン」や、リンクス傭兵のことを理解する助けになるのではないかな? と思い、今回の記事の筆を取ります。


 以下別ページ


 傭兵とは


 ウィキペディアの記事を引用してみます。

 傭兵(ようへい、英:Mercenary)とは金銭などの利益により雇われ、直接に利害関係の無い戦争に参加する兵またはその集団である。


 傭兵とは、いわゆる金で雇われるフリーランスの兵士のことです。決まった従属先や主を持たず、契約と金銭によって、依頼主のために戦う人間です。

 しかしまあ、これだけでは具体的に傭兵というものがどんな職業なのかは分かりません。
 そこで、現役傭兵の方の書籍や記事を例に取り、もう少し深く探ってみることにしましょう。


 今現在、現役で戦っておられる数少ない日本人傭兵の一人が「高部正樹」氏です。
 高部氏のプロフィールを簡単に書きますと、1964年に愛知県に生まれ、航空自衛隊に入隊。その後訓練中の怪我が元で除隊し、80年代後半にアフガニスタンにおいてムジャヒディン側の傭兵として参加。その後もずっと戦場にありつづける、筋金入りの傭兵です。


  *   *   *


 では、傭兵になる人間とはどんな人間なのでしょう?
 皆悲観的で、破滅願望や腐ったような厭世観の持ち主ばかりなのでしょうか?

 どうやらそんなことは無いようです。
 以下、2ch軍事板常見問題と、高部氏の書籍から引用。


 外人部隊で知り合った仲間に尋ねたところによれば,皆,自分の目的に凝り固まって一大決心をしてやってきたという風ではなく,何か「単なる就職先の一つ」と認識しているようだった.

 自分〔高部〕は希に帰国するが,自分を得意な人間として感じた人間は,一人としていないだろう.
 それどころか,
「真夜中の繁華街で因縁をつけられてもおかしくない」
と,友人に言われたことすらある.
 娑婆に出た傭兵は皆,驚くほど穏やかだ.そして人の波に上手く溶け込んでいる.
「平和な娑婆に来てまで争い事を起こしたくない」
 それが偽らざる我々の本音だ.

 気楽に傭兵になる連中は,みんな何らかの形で一度は軍隊を経験していた.
 正規軍を除隊し,一度娑婆に出てみたが,面白くなくて傭兵になった,という出戻り組などが非常に多い.
 この出戻り組には,落下傘部隊や特殊部隊など,いわゆる精鋭部隊出身者が多い.みんな非常に高いプライドを持っている.
 軍では一流のエリートだが,彼らの技術は軍でしか通用しない.娑婆では,世間を知らないチェリー・ボーイ並みの扱いだ.当然そのプライドはズタズタにされる.
 その彼らが,自分を正当に評価してくれる場所,すなわち戦場を求めてきたのは自然の流れだった.

 正規軍を除隊してすぐ傭兵になるのは,訓練ばかりの正規軍に飽き足らない連中だ.この連中は,純粋に戦うために傭兵になっている.
 いちばん傑作だったのは,ボスニアで戦友だったトーマスというドイツ人だろう.
「軍隊に入りたくない」 それがトーマスが傭兵になった理由だった.「このまま国に帰れば兵役にいかなきゃならなくなるからな.兵役に行かなくてもいい歳になるまでは,とりあえず傭兵をやるよ」
 彼は十代でフランス外人部隊に入り,5年の任期を終えたその足でボスニアに来た.
 彼は典型的な「正規軍は退屈だ」という人間だった.

 はっきり言えるのは,みんな戦うことが好きだということだ.
 でなければ,どんな理由があろうとも,戦場という極限状況下で長々と耐えてはいけない.

(高部正樹「傭兵の誇り」,小学館,2001/12/20, P.21-22, 33, 39-40 & 42,抜粋要約)



 この文から読み取れるのは、傭兵になる人間というのは、多分にリアリスト(現実主義者)でもあり、またロマンチストな気を多分に含む人物のようです。また、娑婆で争いごとを起こすのも好んではいないようです。
 そして、戦うことが好きである、ということもです(人殺しが好きという意味ではありません、念のため)


  *   *   *


 また、ACではよく「騙して悪いが(ry」というミッションがあります。現実の傭兵にも裏切りがつき物であるとよく考えられがちですが、実際とは違うようです。
 以下引用。

 〔傭兵は〕決して味方は裏切らないし,手も抜かない.
 傭兵にも戦争のプロとしての誇りがある.
 それに,自分への信頼や評価を悪くすれば,どこの戦場にも行けなくなる.

(高部正樹「傭兵の誇り」,小学館,2001/12/20, P.42,抜粋要約)



 考えてみれば当然ですね。何の後ろ盾も持たない傭兵たちが頼りにできるのは自分の腕、そして信頼と評判のみです。
 ただでさえ傭兵の業界は狭い上に、「悪事千里を走る」ということわざもあります。何か悪いことをすれば、その評判はコミュニティの中に一気に広がるでしょう。そうなってしまえば、雇い主になってくれるはずの個人や組織は寄り付かなくなり、どんな他の傭兵も一緒に戦おうとはしなくなるでしょう。
 最悪の場合、敵を多く作って寝首をかかれることにもなりかねませんしね。


  *   *   *


 また、傭兵は「金にがめつい」とか「金に汚い」とも思われているようですが、これもちょっと違うようです。
 以下引用。


 傭兵には「金で何でもする輩」。そんな間違ったイメージが定着している。とんでもない。誰がたかが金のために命を賭けられようか。負ければ死ぬ。そんな生と死の狭間の中で生きるという事は、金で片付くほど簡単な事ではない。金に汚いのは、むしろそう言っている一般社会の方だった。日本に帰る度に、「なぜ金にもならないのに戦場に行くのか」と必ず問われる。驚くべき質問だ。「人命は地球より重い」という戯言を名言とする国民の言葉とは思えない。だから最近は問い返す事にしている。「日々損耗率10パーセントの激戦地で一ヶ月戦えば、日給100万円保証」。そんなオファーがあればあんたは行くのか、と。数字的には一ヶ月でほぼ全滅だ。損耗率を5%としても、1ヵ月後の生存率は20%未満。生き残れるのは10人の内たった1人。みんなの答えは決まっていた。「幾ら貰っても行かない」。今さっき、我々の命を金で換算していたくせに、自分の命はどんな大金を積まれても釣り合わないらしい。そんな奴ら程「人間みな平等」みたいな言葉を好んで使いたがる。我々を批判する奴らのメンタリティーなど、所詮その程度に低劣だった。
 傭兵が戦うのに、理屈も代償もいらない。必要なのは「自分が納得できる理由」だ。そこにそれさえあれば、現代の傭兵は淡々と激戦地に赴いた。そこが一般人には理解できないらしい。まあいい。傭兵とは、全ての代償を金でしか換算できないような魂の腐った人間には理解できる仕事ではないのだ。

(高部正樹「傭兵のお仕事」,文芸社,2001/8/20, P.230,抜粋要約)



 少々、今の日本社会をくさすような言葉が含まれていますが、それでも高部氏の意見は注目に値すると思います。
 実際問題、傭兵の年収はさほど多くはないようです。それも当然でして、海外で戦うことになれば、現地の組織や個人から給料を受け取ることになります。が、貨幣価値の差というものがありまして、どう考えても日本で働くより受け取る賃金の量というのは少なくなってしまいます(給料を払ってくれる組織の資金が潤沢、とはいかない場合もありますしね) そして高部氏は、傭兵をやっているより日本でコンビニのバイトをした方がよほど金になる、とも著書の中で書かれていました。

 PMC(民間軍事会社)で得られるサラリーも、一般企業の社員に比べてそれほど多いものではないようです。これに自分が負傷する、または死ぬリスクを天秤にかければ、どんなにお金をもらっても割に合わない人というのがいるはずです。

 純粋にお金目当てでは続かない、もしくはふさわしくない職業、それが傭兵というお仕事のようです。


  *   *   *


 少々長い記事になってしまいましたが、最後にこの問答を掲載して締めくくりとさせていただきます。


「矜持がいるのか? ウィン・D」(ローディー)

「……当たり前だろう。そうでなければ、誰が殺しなど鬻げるものか……」(ウィン・D・ファンション)


 まさに傭兵とは、矜持なしにはやっていけぬ生業(なりわい)なのでしょうね。
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コメント

すでに悪い噂が広まっていたズベンは、自分の正体を隠して依頼を発信
ランバージャックは、ほかに見る人が居ない荒野に呼び出して抹殺(予定)
やっぱり「騙して悪いが」はタダではできませんね

  • 2008/05/07(水) 19:09:20 |
  • URL |
  • スキュラ #-
  • [ 編集]

ドイツのトーマスっていうと彼ですね、イスラエルでトルネードスピンを決めた伝説の通信兵、通称キーボードクラッシャー。

…「これウケるかな?」と少しでも疑問に思ったら言わない方がいいですよねorz

  • 2008/05/07(水) 23:34:19 |
  • URL |
  • 69式 #HfMzn2gY
  • [ 編集]

「仕事で得るのは金じゃ無い、充実感と達成感だ」

じっさい痴呆やらストレス性の病気を患った人たちには何らかの仕事を与えるのが一番だと言うのは割りと有名な話、彼は一番適した仕事であるそれが「戦う」事であったということですな。

日本人が金にがめつくなるのは閉鎖的社会の負の恩恵って事かな。

  • 2008/05/08(木) 02:56:30 |
  • URL |
  • AMIDA(羽化したい年頃 #-
  • [ 編集]

まったくの余談ですが高部氏は引退なされたらしいですよ。あと特殊部隊上がりとかは前線でやりあうだけでなく、金持ちの私兵の教導やらの仕事もあるようです。そういやNXでテロ屋の訓練任務もありましたね。

  • 2008/05/08(木) 06:22:44 |
  • URL |
  • R #-
  • [ 編集]

>スキュラ
 あ、そういえば二人ともそんな感じでしたね。やはり悪い噂が付きまとってたのかな? そんな風に思います。

>69式
 彼のあれはマジの病気ではなく、ネタとして撮ったジョークムービーだったんだそうですよ(笑) 世界でやけに人気になってしまって、クラッシャー氏自身が後に謝罪動画を公表してました。
 ま、すごく真に迫ってたんで、自分もキチ○イだと思ってたクチなんですがw

>AMIDA
 痴呆を最も促進するのは刺激のない環境らしいですよね。仕事を引退した企業戦士が、その後急に老けるのはよくあること。
 金は……まあなんというのか、日本の汚点の一つですよね。中国はもっと酷いらしいですが。

>R
 おや、それは初耳です。情報ありがとうございました。
 やはり過酷すぎたのかなあ。生き残ってくれたのは嬉しくもあり、引退されてしまったのは寂しくもあり。

  • 2008/05/08(木) 15:26:13 |
  • URL |
  • 雑兵 #-
  • [ 編集]

名無しで失礼。
傭兵は「カネに汚い」のでは無く、
「職務と信頼に厳格である」と。(それ故に契約遵守の観点から「金に厳しい」事もあるかも知れないが)
事実は小説より奇なり。まさにこの事ですな。

ああ、一部の自称お金持ちの大半ががめついのは、本当の意味の「カネ」ではありません。彼等はそのつもりでしょうが。
実際は「札束」と「数字」。
でなければ、現在の貨幣価値と物価の開きの拡大など起こりませんので。

  • 2008/05/09(金) 13:41:25 |
  • URL |
  • #-
  • [ 編集]

参考になりました 現実傭兵ってこんな感じなんですね・・・ 特に金銭、汚いというイメージはありませんでしたが報酬は高額なんだろうと思っていましたが違ったんですね・・・ 裏切りに関してはどこで見たか忘れましたが、「傭兵は一度契約したら依頼主に裏切られない限りはいくら積まれても裏切ることはない、もし裏切れば傭兵の信用は地に落ちるので傭兵すべてを敵に回すと・・・」 長文失礼いたしました

  • 2008/05/10(土) 03:11:22 |
  • URL |
  • ミスト #/QjCk4EU
  • [ 編集]

>名無しで失礼。
 そうですね、まさに事実は小説よりも奇なりですねw
 ただ、本当のプロフェッショナルというものは自分の仕事に誇りを持っていますから、そうそう変なことはしないだろうってことも考えられます(これが犯罪者崩れとかなら分かりませんが)
 それと、一部の~というお話ですが、それは自分も同意いたします。いわゆる投機屋、株の値の上下で利益を得ている人などがそれに当たりますね。

>ミスト
 傭兵の報酬は、依頼主と国によってもかなり変わってくるようです。概して高額というわけでもないようですが(ちなみに億なんて夢のまた夢ですので)
 あと、その文は見たことありますね。ロードス島戦記だったかな?

  • 2008/05/16(金) 20:57:03 |
  • URL |
  • 雑兵 #-
  • [ 編集]

資料探しも物書きの仕事のうち、ですね

疑問を感じたらば情報の海へ
そんな素直な好奇心を大事にしなきゃ、ですね

  • 2008/05/17(土) 16:26:05 |
  • URL |
  • Sinow #-
  • [ 編集]

PMC

最近某ゲームの影響でPMCについて調べてみたのですが、外人部隊などよりも待遇が悪く、正規部隊であれば戦犯に問われるようなことも業務として命じられるそうです。報酬に関しては「PMC(民間軍事会社)で得られるサラリーも、一般企業の社員に比べてそれほど多いものではないようです」
と書かれておられますが、元有名特殊部隊所属の肩書きを持つ人材は1日で1000ドル程度の収入が見込めるが、グルカ兵などの途上国出身の兵士だとおよそ月に1000ドル程度という文を目にしました
高部氏は金で片付くほど簡単な事ではない、必要なのは「自分が納得できる理由」と語られておられるようですが、「国を守る為の人材として国の多額の税金を費やして教育された特殊部隊員や空軍パイロットなどの優秀な人材が30代の一番脂の乗り切った時期に数多く民間軍事企業に引き抜かれてしまうのである」とPMCへのヘッドハンティングが問題になっているそうです・・・ 事情がある場合もあるようですがやはり多額の報酬は危険より重いのでしょうか・・・
追記:高部氏は2007年7月を持って引退されたそうです

  • 2008/07/11(金) 02:31:18 |
  • URL |
  • ミスト #QqilU9Rc
  • [ 編集]

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